部活動の指導を終えて職員室に戻ると、もう夜の9時。明日の授業で使うプリントはまだ白紙。

そんな夜を、何度繰り返してきたでしょうか。

「ChatGPTが便利らしい」と聞いてはいる。でも、白紙のプロンプト欄を前にすると、何を打てばいいか分からないまま閉じてしまう。ITリテラシーの問題ではありません。プロンプトを学ぶ時間すら確保できないことが、現場の本当の壁です。

この記事は、その壁を一段だけ下げる目的で書きました。コピペしてカッコ内を埋めるだけで使える実践プロンプトを、定期テスト・通知表所見・行事挨拶の3シーン別に公開します。あわせて、AI生成教材をそのまま教室に持ち込んではいけない3つの理由と、最低限のチェック手順も解説します。

プロンプトを使うのも面倒、という方のために、記事末尾にAI生成+人間チェック済みの教材を代行で作るサービスもご紹介します。

ChatGPT・Claudeを使う教員が増えているのに、7割が未活用な理由

増えているのに、まだ7割が未活用という現実

仙台大学AI教育研究チームが2024年〜2025年に実施した全国調査(教員約2,500人対象)によれば、教員の生成AI利用率は2024年から約13ポイント増加し、32.3%に達しています(出典:仙台大学AI教育研究チーム「学生と教員を対象とした生成AIの教育利用状況と意識に関する全国調査 2024年-2025年比較調査」)。

それでも、約7割の教員はまだ日常的に使えていないのが現状です。ITリテラシーの問題ではありません。使い方を学ぶ時間すら確保できないことが、現場の本当の壁です。

業務負担と「時間」の限界

文部科学省「教員勤務実態調査(令和4年度)」によれば、中学校教諭の平日1日あたりの在校時間は平均11時間1分にのぼります(出典:文部科学省「教員勤務実態調査(令和4年度)確定値」)。授業準備、教材作成、部活動指導、保護者対応、校務分掌……これらをすべて一人でこなすのは構造的に無理があります。

AIは「完璧な教材を自動で作るツール」ではありません。「60点の素材を10分で作り、残りの時間で仕上げる」ためのツールです。この認識で使うと、劇的に楽になります。

教員がAIで時短できる業務トップ5|定期テストから通知表所見まで

AIで時短できる教員業務トップ5|テスト・通知表・学級通信・指導案・アンケート

1. 定期テスト・確認テストの問題作成

単元と難易度を指定するだけで、選択肢問題・記述問題の骨格を数分で生成できます。

2. 通知表の所見文案

児童・生徒の行動や成長のメモを箇条書きで渡すと、文章化してくれます。最終的な表現は必ず自分で確認・修正することが前提です。

3. 学級通信・学年だより

行事名と伝えたいことのメモを渡せば、保護者向けの丁寧な文章に整えてくれます。

4. 授業案・指導案の下書き

学習目標と対象学年を伝えると、授業の流れの骨格を提示してくれます。自分の指導スタイルに合わせて肉付けするベースとして活用できます。

5. アンケートの集計・要約

Googleフォームの回答をCSVで貼り付けると、傾向と要点をまとめてくれます。

今日から使える実践プロンプト【コピペOK】

以下のプロンプトはChatGPT(GPT-5以降)とClaude Sonnetシリーズどちらでも動作します。※2026年4月時点の主要モデルで動作確認済み。【】の部分を自分の状況に合わせて書き換えてください。

教科書の単元から問題を作るプロンプト

あなたは中学校の【教科】の教員です。
以下の条件で確認テストの問題を作成してください。
【単元名】:【例:一次関数】
【対象学年】:【例:中学2年生】
【問題形式】:選択肢問題10問、記述問題3問
【難易度】:基礎〜標準(教科書レベル)
【注意事項】:実在する出版社の教科書の文章をそのまま使用しないこと
各問題には解答と、つまずきやすいポイントの一言メモを添えてください。

このプロンプトのポイント:冒頭の「あなたは○○の教員です」というロール指定で、出力の文体と専門性が安定します。「つまずきやすいポイントの一言メモ」を求めることで、解答用紙だけでなく授業設計のヒントも同時に得られます。

児童の様子から所見を作るプロンプト

小学校【学年】の通知表の「総合所見」の文案を作成してください。
【児童の様子メモ】
・算数の図形問題が得意で、友達に説明するのが上手
・体育の持久走では最後まであきらめない姿勢を見せた
・給食当番を率先して行っている
文字数は120字前後、保護者が読んで前向きな気持ちになれる表現でお願いします。
1つのメモから2〜3パターンの文案を出してください。

このプロンプトのポイント:「2〜3パターン出力」を指定することで、1つが気に入らなくても書き直しを依頼する手間が省けます。メモは行動・場面の観察事実だけを書き、評価の言葉(「優秀」「問題がある」等)は入れないほうが多様なパターンが出やすいです。

行事の挨拶文を作るプロンプト

【行事名:例:1学期終業式】の校長挨拶の原稿を作成してください。
【対象】:中学生全校生徒
【伝えたいこと】:夏休みの過ごし方、2学期への期待
【文字数】:800字程度
【トーン】:親しみやすく、前向きな雰囲気
結びの言葉は複数パターン提案してください。

このプロンプトのポイント:「結びの言葉を複数パターン提案」と指定することで、その場の雰囲気に合わせて選べます。800字という文字数指定は、実際に話すと約3分になる目安です。対象学年を変えるだけで小学校・高校にも転用できます。

定期テストの問題セットを作るプロンプト

あなたは中学校の【教科】の教員です。
以下の条件で定期テストの問題セットを作成してください。
【単元名】:【例:日本の気候と自然災害】
【対象学年】:【例:中学2年生】
【配点・構成】:
大問1:語句の穴埋め問題(各2点×5問)
大問2:選択肢問題(各3点×5問)
大問3:資料読み取り問題(各5点×2問)
大問4:記述問題(10点×1問)
合計:50点満点
【難易度】:教科書の内容を中心に、思考力問題を1〜2問含める
【注意事項】:実在する出版社の教科書の文章・図版をそのまま使用しないこと
各問題に以下を添えてください。
・模範解答
・採点基準(記述問題のみ)
・つまずきやすいポイントの一言メモ

このプロンプトのポイント:配点・大問構成をそのまま指定することで、合計点の帳尻合わせが不要になります。「思考力問題を1〜2問含める」の一文が、単純な暗記問題だけにならない出力を引き出します。生成後は教科書の該当単元と1問ずつ照合してください。

学級通信・学年だよりを作るプロンプト

保護者向けの学級通信の文章を作成してください。
【学年・学級】:【例:中学2年3組】
【号数・配布時期】:【例:5月号】
【伝えたい内容(箇条書きで渡す)】:
・修学旅行の持ち物と集合時間の案内
・1学期中間テストの日程
・家庭学習の取り組みへの感謝
【文字数】:400〜500字
【トーン】:保護者との信頼関係を大切にした、温かみのある表現
読んだ保護者が「担任の先生はよく見てくれている」と感じられる
一文をどこかに入れてください。

このプロンプトのポイント:「読んだ保護者が○○と感じられる一文を入れてください」という感情指定が効果的です。箇条書きのメモを渡すだけで文章になるため、下書きゼロから始めるより大幅に時間を短縮できます。固有名詞(行事名・日程)は必ず自分で確認・修正してください。

保護者への個別連絡文を作るプロンプト

保護者への個別連絡文の文章を作成してください。
【連絡の種類】:【例:生活面の気になる点を伝える電話の話す内容メモ】
【状況メモ(箇条書きで渡す)】:
・最近提出物が3回連続で未提出
・授業中は集中しているので学力面の問題ではなさそう
・本人に聞いたら「家でバタバタしている」とだけ答えた
【トーン】:責めず、家庭と連携したい姿勢を前面に出す
以下の2パターンを出してください。
A:電話で話す内容のメモ(話す順番つき、200字以内)
B:連絡帳に書く文章(100字以内)

このプロンプトのポイント:2パターン同時出力を指定することで、電話が繋がらなかった場合の連絡帳への切り替えがスムーズになります。状況メモに実名・成績の数値を入れないことが個人情報保護の観点から重要です(詳しくは次セクション)。

AI活用で気をつけたい3つの落とし穴

AI活用で気をつけたい3つの落とし穴|ハルシネーション・個人情報・著作権

落とし穴1:ハルシネーション(もっともらしい嘘)

AIは「存在しない参考文献」「誤った年号」「間違った数式の変形」を、確信を持って出力することがあります。特に歴史・理科・数学の問題作成では、必ず一次資料(教科書・資料集)との照合が必要です。教科書の該当ページを開きながら、AIの出力を1問ずつ目視で確認するのが確実です。年号・数値・固有名詞から優先的にチェックしてください。

落とし穴2:個人情報の取り扱い

AIチャットに児童・生徒の実名や成績をそのまま入力してはいけません。所見作成の際も「Aさんは…」ではなく、上のプロンプト例のように行動や特徴のメモとして入力するのが安全です。実名は「児童A」などの仮称に置換し、成績の数値も入力しないことが鉄則です。

落とし穴3:著作権への配慮

市販のドリルや問題集の文章をそのまま貼り付けてAIに加工させる行為は、著作権法上グレーゾーンです。「AIに生成させる」という形にすることで、著作権的にクリーンな教材を作れます。市販教材を「参考にしてプロンプトで生成する」のは問題ありませんが、「文章をそのまま貼り付けてリライトさせる」のはNGです。著作権についての詳しい解説は、別記事でまとめています。

これらのチェックを毎回自分でこなすのが負担に感じる場合は、AI生成+人間によるチェック済みの教材を代行で受け取る選択肢もあります。→ 教材作成代行サービスを見る

それでも時間が足りないあなたへ

プロンプトを覚えて、AIを操作して、出力をチェックして……これだけでも確かに時間を削減できます。でも、「そもそもAIを動かす時間すら取れない」という先生も多いのが現実です。

そういう方のために、私たちは教材作成代行サービスを提供しています。

教材AI代行ラボは、AIによる生成とAI自動レビューによる疑わしい箇所の検出・人による最終確認を組み合わせた教材作成代行サービスです。プロンプトの研究と運用を日々続けています。

ご要望の単元・難易度・形式をお伝えいただければ、AI生成→AI自動レビュー→人の最終確認というプロセスを経た、すぐに使える教材をお届けします。まずはお気軽にご相談ください。

自分でAI活用を続けたい方へ:ハルシネーションの具体的な確認手順はこちらの記事で、外注した場合の料金感はこちらの記事でまとめています。